夜まで待てない





電車に乗って駅に着くと、時刻は二十三時だった。


まだ帰りたくなかった私は何処かで少し飲んで帰ろうと思い飲み屋街の方へと歩いていた。


前に日菜子と言ったbarに行こうと思い歩いている時だった。


ふと前を見ると男同士でキスをしているのを見てしまった。


すぐ近くにゲイbarがあったからかもしれないけど、大胆だなと思い通り過ぎようとしてチラリと興味本位で顔を見ると私は歩いていた足を止め、持っていた鞄を下に落とした。


だってそこには見覚えのある顔があったからだ。


私が鞄を落とした音で、キスをしていた男の人二人が私を見た。


私は見覚えのある顔をじっと見つめ、またその人もじっと私を見つめた後に、相手の耳元で何かを言ってその人は手を振り帰っていった。


「まさかこんな所を見られちゃうなんてね?
橋本さん?今から何処かで話そうか!」


そう言って私の落とした鞄を拾って呆然としていた私の手を引っ張って、私が行こうとしていたbarにやってきた。


まだ私はさっきの事が信じられないでいた。


優しくて良い人で顔もまあまあイケメンなのにゲイだったなんて…


私は少しショックだった。