保健室に戻るとやよいの姿はなくて、保健室の先生に授業が始まったから戻ってもらったと教えられた。
次はもう6限目。
授業に戻る気分にはなれないし、ここで頬を冷やしながら待ってよう。


そう思って、頬に氷袋を当てながらぼんやりと考え事をする。



あんな感情的な瀬名くんは、初めて見た。
瀬名くんにとっての妖がどれほどの憎悪の相手なのか、今更現実味がわいた気がする。


でも、あんな瀬名くん、もう見たくないよ・・・。




ガラッと保健室の扉が開く音がしてハッと顔をあげた。





「・・・瀬名くん!」



入ってきたのは瀬名くんで、唇を噛み感情を押し殺したような雰囲気でまっすぐ私の方へと向かってくる。




「瀬名くん、どうだった?・・・まさか、退学とかはないよね?考慮するって・・・」




そこまで言って、私は体を引き寄せられ瀬名くんの腕の中にいた。
言葉を詰まらせパチパチと瞬きをする。


え、え、え?



「せ、瀬名くん・・・?」

「・・・ごめん」



ギュッとしがみ付くように呟かれた声。
それは震えていて。


まるで、泣いている様だった。




「ううん、私もごめん、ごめんね」