「俺、何かしたかな」 誰に、 なんて、言わなくても分かってくれるだろう。 「してくれてるばっかりだから、楓生は悩んでるんだよ」 「どういうこと?」 「ちゃんと逃げずに話し合えってこと」 ——逃げずに 「怖いんだ」 「うん」 「怖い」 敦弥に隠した気持ちを真壁に言ったら泣きそうになった。 いつもは人のことバカにして、睨んできて、優しくされたことなんて片手で数えられるくらいしかない。 そんな真壁が、俺に優しくするから……。