* その日の放課後、ウキウキしながら紫乃ちゃんの教室に向かっていく敦弥。 その姿を見ながら少しだけ羨ましいと思ってしまう。 佐倉はまだ教室にいて、机に向かって何かを書いてるみたいだ。 俺はどうしようか。 帰ろうか、帰らないか。 もちろん、話しかけるなんてこと出来ないんだけど。 帰る前に図書館に寄って、数学の参考書を借りて帰ろうと思ってたんだ。 「また、明日」 小さな、小さな俺の声は、君に届くことはない。