「ひとめぼれで……先輩にどうしても、
詩織のことを知ってもらいたくて……」
必死に、でも、すこしはずかしそうに。
「先輩の彼女にしてくだ───ザザッ
……きゃぁっ」
一瞬のできごと。
強い風が吹いてグラついた彼女が、
俺に近づいてきたと思うと、
そのまま俺の腰に腕をまわしてきた。
え?
女って、そんなに弱ぇの?
しばらくジッとして、
はなれてくれるのをまっていた。
風はもう吹いていない。
だけど、なかなかはなれない腕。
白くて細い腕なのに、すごい力。
「先輩、好きです」
俺の服に顔をくっつけているから、
声がこもってきこえてくる。
それでも、ちゃんと耳に届いた。
真剣に告白してくれているんだから、
俺もちゃんとこたえないとな。