「祥太君、昨日の今日で大丈夫なの?」


「大丈夫です。もともと大した怪我ではなかったので」


「では、お茶をお入れしますね」


持ってきた紅茶をティーカップに注ぐ


「ほお、上手くなったな」


「本当に」


「まぁ、もう長くやってますから」


言い訳のように言いながらも、褒められることは素直に嬉しいと思う


お嬢様が連れ去られてから、ご主人様と奥様、特に奥様は僕をとても可愛がってくれた


まるで、本当の息子のように
お嬢様がいない寂しさを紛らわすように


母親を小さい頃に亡くしてしまっていた僕は、自分を可愛がってくれる奥様が大好きだった。