「…っ」
なんて…醜い
この気持ちを全部千里のせいとするのは簡単だ
そんなのは自分勝手すぎるから許さないけど
それでも俺は…っ、
「祥太。莉音さんが、好きなんだろ?」
「そんなわけ…」
だって莉音は莉愛様で、僕は莉愛様の執事で…
それに気づいた途端、急に冷静になった
「ありえないよ、父さん。そんなのは許されない」
ああそうだ。僕は執事だった
とうに分かっていたことなのに、気づいてなかった
莉音を好きになんて、なっちゃいけなかったんだ
そう思ったら、心が軽くなった気がする
父さんの部屋を出て、僕は仕事に戻った
心に残ったわだかまりと、部屋を出る直前の父さんの表情に、気づかない振りをして
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