影姫にあいを


見慣れた道に出て、見慣れた倉庫が見えた。

そして段々と不機嫌さが増していく優。

私の髪をいじる手を止め抱きしめてきた。

「やっぱり、行かないで。」

また苦しそうに、辛そうにする。

そんな顔しないで。

「それは、できない。」

でも私の冷たい声がそうさせているんだ。

「わがまま言ってごめん。でも美影を返したくない。」

「私が倒れたら迎えに来てくれるんでしょ?」

「うん。すぐ行く。」

もう倒れるつもりなんてないのに。

心のなかで何度も何度もごめんと呟いた。

悲鳴を上げて泣いてる。

今まで龍哉以外に何も思わなかったのに。