「矢野くんって結婚してたっけ?」

なんとも答えずらい質問をする。

「んー・・・。まぁそんな感じです」

左手の薬指を見ながら言った。

「いぃわね~・・・。幸せそう」

あんたがいなければもっと幸せだ。

そう・・・あんたがいなければ・・・・あんな最悪なことが起きなかった。

「あっ!電車来ましたよ」

暗い話になりそうなので、オレはとっさに空気を変えた。

「あら、ほんとだ。行きましょう」

『行きましょう』

ってオレも一緒かいっ?!

「はあ・・・」

静香さんが上司である以上断ることができなかった。