「行くぞっ。」
私の方を向いてそういうと私の手を握って走り出した。
ねぇ……どういうこと?
どうして雄介君じゃなくて……中林が?
私はびっくりしててまだ声が出ない。
中林は私を外に連れ出し、人のあまりいない公園まで………連れて行ってくれた。
「ここまで来れば…大丈夫だろ。」
私をベンチに座らせて隣に中林も座った。
「本当に……大丈夫か?」
怖かった……。
中林の一言と……。
やっと緊張から解放されたのとで涙が出てきた。
「大丈夫。」
「……そっか。よかった。」
まだ怒ってるのみたいで前を向いたまま言われた。
「どうして……あんたなの?」
「は?」
「もう関わらないって……言ってたのに。」
「…やっぱお前ってそんなことしか言えねーの?」
違う……。
私……こんなことを言いたいんじゃない。
今は……。
「…ありがと。」
「おう。どうして……お前あんなこと…」
「………。」
「いや……何も言うな。ほら…これ。涙。」
ぎこちない会話の中、ポケットから水色のハンカチを取り出した中林。
顔は……ずっと前を見たままだったけど。
なんだかこいつがハンカチなんて…意外。
それを黙って受け取って涙を拭く。
それからは何の会話もなくてお互い黙ったまんま。
多分……10分くらい。


