妙に元気な声。
思わずケータイから目を離し、その声の方を向く。
「やっぱりー!人殺しさん。」
「美優………。」
もう二度と会うことないと思ってたのに。
私のことを人殺しって呼ぶ人。
美優。
もともと美優は……親友だったんだけど…。
「誰?さっきの人。彼氏?」
「そ…そんなわけないよ。」
「だよねー♪私から奪った友哉くんを殺してもう新しい彼氏とかあり得ないよね?」
そ…それを言わないで。
お願い。
ちょっとずつあの日のことは思い出さないように出来てたのに。
あの日のことは……。
「………。」
「ねぇ。お願いがあるんだけど?」
「な……何?」
「私、あんたが生きてる限り幸せになんてなれないんだよねー。」
え───
ちょっと待って!
美優はバッグから果物ナイフを出し、私の前に突きつけた。
「偶然だねぇ。今日たまたまママにこれ買ってくるように頼まれててさ。」
「ねぇ……どうするの?」
「みんなの幸せのために死んでくれる?」
「や……やめてよ。ごめん……いくらでも謝るからっ!!!」
どうしよう。
こんなときに限って隅っこにいる。
逃げられないよ……。


