「やっぱり。起きてたんだ。」



やっぱり?



「なんだよ。バレてたの?」

「当たり前でしょ?何年一緒にいると思ってるの?」




……この二人は幼なじみなんだよね?

うらやましい。

私はまだ僚太のことなんにも知らないから。



「賀菜も覚えておいてね?僚太は都合が悪くなったら寝たフリするの。それとね………。」



秋穂が私の耳元に近づく。



「本当に寝てるときは口が半開きなの。」

「へぇ……。」




そんなことまで知ってるんだ。



「なんだよ。教えろ。」


まさか自分の寝顔のことを話してるとも知らず僚太は口を尖らせて聞いてきた。



「ヤダ。教えたらやらなくなるもん。」




秋穂もそれに負けず返す。




「いいだろ?そろそろ教えてくれても。な?賀菜っ!」

「……ヤダ。」


……私だって一回くらい僚太が本気で寝ているところ、見てみたいもん。




「どうしてだよっ!どいつもこいつも!」

「まぁいつか賀菜に教えてもらいなよ。」

「わかったよ……。」



またつまんなそうに口を尖らせる子供みたいな僚太。


私……今すごく幸せなんだよね。

この二人は私の過去を全部知っててそれでもこうして仲良くしてくれてる。

もう何も怖がること、心配することなんてないんだ。

そう思えるだけで……自然と笑顔になれた。




「賀菜がこうやって笑ってるのに………。

僚太!ホントに賀菜の笑顔を奪うようなことしたら許さないからねっ!」

「わかってるよ。俺は賀菜の笑顔が好きなんだ。泣かせるとかあり得ねぇ。」




………ありがと。

嬉しくて嬉しくて、何だか涙が出てきちゃった。




「あーあ。早速泣かせた。」

「はぁ?俺のせい?」

「そうだよ。慰めなよ。」

「……泣くなよ、泣き虫。」




………。



「うるさい。」



…大丈夫。







嬉しいだけだから。