「そうだね。行ってあげなきゃ…ね。」
熱がさがったら行こうかな。
でも……できればあそこには行きたくない。
もちろん、友哉には会いたいけどさ。
ちょっと……ね。
「じゃあ今日は1日寝てるのよ。」
お母さんはそう言って仕事に行ってしまった。
家の中で1人…か。
あまりにも静かで外の音が全部聞こえる。
大声で叫んでる小学生。
友達どおしでキャッキャ言ってるの中学生。
カップルどおしで歩く高校生。
中学のころまでなら私だって友哉と…。
誰に忘れろって言われたってそれは出来ない。
だって目を閉じればすぐにでも……写真の連写みたいに蘇ってくる。
頭じゃなくても…目、耳、体が覚えてる。
特に耳が……覚えてる。


