まさか……。
後ろを振り返る。
「なか……ばやし?」
それを合図かのように、嶋田さんは泣き出した。
「なにがあったの?」
「あたしがね。水谷さんにね僚太くんのこと、あたしも好きなのって言ったら……あたしのこと押したの……うわーん。」
……なによそのウソ。
私はまた何も言えずただそこに立っていた。
「僚太くん……どうしてこんな子のことが好きなの?」
「どうして?」
「だって……この子は前のね───」
………やめてっ!
今……言うの?
そんなに私のことイジメたい?
私は怖くて何も言わないまま駅に向かって走り出した。
「いいの?今逃げたらあのこと僚太くんだけじゃなくて学校中に言うよ?」
……ヒドイ人。
立ち止まる私。
「なんだよ。あのことって。賀菜の前が……何?」
「自分で言えば?」


