「だったら別にいいじゃない。誰にもいわないからさ。」
………。
ああ……。
どうしよう。
もしかしたら……ケーキだけだったらバレないかもしれないよね?
だけど……。
手は震えていた。
その震えを無理矢理抑えて嶋田さんの前に袋を出した。
中を見られてる間……ずっと下を向いて。
「ふーん。ケーキねー。」
「そ……そう。お母さんの為に……「じゃあこのメモは?」」
っっっ!
もう……だめだ……。
「ごめん。それを……中林に渡したかった。」
「ふーん。」
そう言ったまま嶋田さんはだまってしまった。
しばらく沈黙が続く。
「もう渡さないから……安心して?ほら……もう返して。」
「………。」
どうして……なにも言わないの?
「ふふふ。」
え。
「はは♪これを僚太くんにあげようと思ってたってわけ?」
ガシャン!!
───っっ!!!
「どういうつもりっ?」
ケーキを袋ごとゴミ箱の中に……
それをみた瞬間体が反射的に嶋田さんをつきとばしていた。
別に渡せなくてもよかった。
でも……捨てるなんて……ひどいよ。
目の前でしりもちをつく嶋田さん。
なのに……口元が笑ってる。
どうして───
「何……やってんだ?」


