走るのを止めゆっくりと近づいて行く。
「はは♪」
人影が笑った。
この声……。
「やーっぱ来たんだ。」
し……嶋田さん………?
「ど……どうして…ここに?」
ケーキの入った袋をとっさに後ろに隠す。
「あんたこそ、どうしてここに?」
「え……と………。」
まさか…正直に中林に会うとは言えない。
でも……やっぱり来たって…どう言うこと?
「言えるわけないよね?私の前で僚太くんに会うの~なんてさ。」
どうして知ってるのっ。
「私に黙って会おうとしてたのにごめんね?私、あのとき僚太くんの隣にいたんだよね。それで?何のために僚太くんに?」
言葉がなかなか出てこなかった。
何を……どう言っていいかわからない。
「べ…別に何も?そんな大した用じゃないの。そうだよね?ごめんなさい。せめて嶋田さんに言えばよかった。じゃあね。」
とりあえず、一旦ここから離れた方が……。
一歩ずつ後ろに下がっていった。
「ちょっとまって?」
ドキッ!!!
何?
「え……え?」
「それ、何?」
私の後ろを指差す。
「こ……これはお母さんから頼まれたもので……。」
「見せて?」
「え。」
暗くて顔はよくわからなかった。
だけど今の嶋田さんの声はホラー映画よりも怖い。
「どうして?お母さんに頼まれたものなんだよ?見せるようなものじゃないよ。」
とにかくごまかさないと………。


