……でも、そんな覚悟。
そんな簡単にできるわけなかった。
もちろんテスト勉強も頑張ったけどさ。
どこかであのことを考えてしまって集中できなかった。
「やったー!賀菜!今回私すごい!」
教室ではいつもと同じ日常があった。
私以外はね。
みんな夏服に衣替えして涼しそうにしている。
それは私も同じ。
「やっぱ半袖だよね。あーあ、のど乾いた。みんな、ジュース買いに行こーよ。」
晴香のその言葉でだらけていたほかの4人は一階にある自販機に。
そこには2、3人がすでにいて、なにやらガヤガヤやっていた。
はやく決めればいいのに。
その中には……そう、アイツもいた。
「あれ?」
突然秋穂が言う。
「ん?どうかした?」
「僚太…腕、どうしたんだろ。」
腕?
言われた腕を遠くから見る。
確かに。
中林の左の腕に10センチくらいの傷痕が。


