…さてと。
目の前にある玉ねぎ3個から1つを手にする。
料理は家でも手伝うから慣れてるし、さっさと終わらせてしまおうと思った。
ーーサクッ、
縦に半分に切って、それからくし形に切る。
だけどこの玉ねぎやけに目にしみるみたいで、切ってるうちに涙がにじんできて…。
うぅ…目が痛い…。
思わずジャージの袖で涙を拭く。
そしたら急に横から声をかけられた。
「…鈴菜!?」
慌てたようなその呼び声に振り返ると、なぜかそこには夏希くんの姿が…。
「…あれ?なつきく…」
いつの間にこっちに来たんだろう。
「大丈夫か?なにお前、泣いてんの?」
「え…ちが…」
「なんかあったのかよ」
明らかにちょっと動揺ぎみの彼は、私が涙を拭いてたから泣いてると思ったみたいで。
心配してわざわざ声をかけてくれたようだった。
「ち…違うよ。
玉ねぎが目にしみて……」
「…は?」



