珍しくあだ名を付けられてドキッとした。
すずちゃん、なんて呼ばれたの小学校以来かも。
そうだ。夏希くんは最初から私を呼び捨てだったけど、ハルくんは鈴菜ちゃん、て呼んでたんだ。
鈴菜ちゃんなんて、呼びにくいよね。
「い…いいよ!」
「マジ?じゃあこれからハルくんとすずちゃんな!
ってことでまたな!すずちゃん!」
「あ、うん!」
そしてハルくんはさっそく私をあだ名で呼ぶと、キラキラの笑顔で手を振りながら去っていった。
爽やかだなぁ…。
こんなカッコよくて人気者の彼も、やっぱり花鈴には惹かれちゃうんだ。
花鈴ってすごいな。
でも、せっかくハルくんは花鈴が好きなのに、花鈴はやっぱりまだ夏希くん派なのかな?
そう考えたら少し複雑なような…。
花鈴がこのままハルくんを好きになってくれたらちょうどいいんだけどなぁ…
なんて、まったく余計なお世話だけれど、そんなことを考えながら炊事場に戻った。



