そんなこと考えながら布団にもぐりこんでいたら、急にすごい勢いで誰かが階段を上ってくる音がした。
花鈴だ…。
足音でわかる。
――ガチャッ。
花鈴はいつもどおりノックもせず私の部屋に入ると、ベッドのそばまでやってきた。
「ねぇ、ちょっと鈴菜!」
布団から顔を出して見上げると、彼女はまだ制服姿。
夕飯はハルくんと外で食べる約束だったらしく、それで今帰ってきたところみたい。
「ど…どうしたの…?」
泣き顔のまま私が訊ねると、花鈴は眉間にしわを寄せながら腕を組んで。
「なんかさ、私今日帰り際、篠田莉緒にすれ違いざますごいムカつくこと言われたんだけど!」
「えっ…!」
篠田さん…?
ウソでしょ…。
まさか、彼女が花鈴にまで嫌味を言うなんて思わなくて、ビックリした。
「な、なんて言われたの…?」
「それがさぁ、『明日メイド服着て対抗するのー?無理だからやめときなよー。
アンタみたいな根暗、このみちゃんに勝てるわけないんだから』って」
え……。



