…って、なに暗くなってるんだ私。 慌てて本に視線を戻す。 自分からはなにもアクションを起こせないくせに、花鈴を羨ましがってばかりいる自分が本当に嫌になった。 ないものねだりだよね、まったく。 人と話すと気を使ってばかりのくせに…。 だけどその時ふと、 ーーぽん、 頭のおだんごに何かが触れた。 えっ… 何かと思って見上げる。 するとなんと、目の前に、 さっきまで教卓のあたりにいたはずの夏希くんがなぜか立っていた。 「…っわぁ!」