カバンから教科書を出してしまうと、文庫本を広げる。



これがいつものスタイル。



休み時間は自分の席で読書、というのが中学の時からの定番だった。




昔からそう。


自分から話しかけに行くのが苦手で。



みんなでワイワイ話している場に入っていくことができない。



だから今でもクラスに知り合いこそたくさんできたものの、特定の友達がまだいないので、

花鈴が来てくれるとき以外は読書していることが多いのだった。




本を読みながらクラスを観察する。



みんな少しずつグループができはじめてる。



中でも花鈴はいつも賑やかな場所にいて、男女関係なくみんなに囲まれて楽しそうだ。



同じ環境で育ってどうしてこうも違うんだろうなんて、本を片手に眺めながらいつも考えていた。