…どきん。
思わぬ彼の行動に心臓が飛び跳ねる。
どうやら夏希くんは、私が思っていた以上にいい人みたいだ。
「…あっ、いいよ!私がさすよ!」
「なんでだよ。お前の身長じゃさせねーだろ。
っつーか俺が借りてんだからいいの」
「あ…うん……」
優しい…。
こんなところ誰かに見られたらどうしようかと思った。
相合傘なんて、花鈴に知られたら怒られちゃうかな。
「あの…っ、よかったらタオル…」
「あぁ、どーも…」
傘をさしてもらった代わりに、濡れてる彼の肩をタオルで拭いてあげる。
すると彼は不思議そうな顔で私をじっと見た。
「お前ら同じ顔してんのにほんと別人みてーだな」



