気がついたら声をかけていた。
なんだか見ていられなくて。
だって新しい制服がびしょ濡れになりそうで。
夏希くんは私が傘を差し出すと驚いた顔で振り向く。
「…は?」
でもそれを聞いた瞬間、少し我に返った。
あ、もしかして迷惑だったかな…?
っていうか私、馴れ馴れしい?
「あ…い、いや…そのっ、
夏希くん、傘さしてないから…濡れちゃってるし…そのっ、
もしよかったらって思ったんだけど…」
話しながら顔が真っ赤になってくる。
これじゃ変な人みたいだ。
普段男の子に話しかけるなんてあまりしないから、いざとなると緊張してしまう。
やばいやばい…
相合傘したいとか、気があるとか勘違いされたかな?どうしよう…
変な被害妄想が湧いたりして。
「めっ、迷惑だったらいいの!
あっでも…、あのよかったらこの傘貸すから持って行って!
私駅までだから走れるし…」
そしてなんかますます変なことを言ってしまった。



