あれ?

今気のせいかもしれないけど、好きでやってるって言った…?



どういう意味なのかな…。



「す…好きでっていうのは…、」



「あーいや、なんでもねぇよ!

気にすんな」



すると焦ったように急に話を止めるナツくん。



「それよりほら、行くぞ」



「…あっ、」



そして私の腕を掴み、スタスタ歩いていく。



急にどうしたんだろう。



「部屋まで送る」



ナツくんは一言そう告げると、そのままこちらを振り返ることなく早足で歩いて行った。



私は一歩後ろからそれについていく。



やっぱり優しいな…。



だけどふと見上げた時に、彼の耳が少し赤くなっているのに気がついて。


ドキッとした。



私の見間違いかな、気のせいかな…。



そのまま私の部屋までずっと何も話さずお互い無言だったのだけれど、

その沈黙は別にちっとも気まずくはなくて、むしろ心地よかった。



そして掴まれた腕がずっと熱くて…。



その感触はしばらく離れなかった。