パドックで会いましょう

「先輩の学校は男子の制服、学ランだったんですね。カッコいいなあ…。僕の学校はブレザーだったんで、憧れてたんですよね。」

先輩のクラスメイトたちを順番に見ていく。

僕みたいな小柄な生徒もいたようだ。

「ん…?」

女子の生徒の中に、やたらと大人びた美人を見つけた。

とても中学生とは思えない色気が漂っている。

「今度はなんや?」

僕はまじまじと、その女子生徒の顔を見た。

つまらなさそうな、憂いを帯びた表情。

少し茶色い長い髪と、涼しげな切れ長の目に、スタイルの良いスラリとした体。

「あー、こいつか。」

先輩は横からアルバムを覗き込んだ。

「こいつ、俺のヤンチャしてた時の仲間でな。小学校の時から一緒に遊んでたやつや。大人っぽくて美人やろ?」

「…ですね。」

「ケンカもめちゃめちゃ強うてな。そやけど優しくて面倒見はええねん。そんなんやから、みんなからねえさんって呼ばれとった。」

「…ねえさん…?」

やっぱりそうだ。

間違いない。

先輩、ねえさんと友達だったのか!!

「ん?なんや、気になるんか?」

「先輩は…その、ねえさんとは仲が良かったんですよね?」

「ああ、付き合い長かったからな。」

「どんな人でした?」

見ず知らずのはずのねえさんに興味を持った僕を、不思議に思ったのだろう。

先輩は少し首をかしげた後、ゆっくりと話し出した。


「こいつな…可哀想なやつやねん。」