パドックで会いましょう

3年3組、先輩のクラスだ。

「俺の中学時代なぁ…。3年の時はかなりまともやったな。」

「3年の時はまとも?じゃあ2年までは?」

「ヤンチャしとったからなあ。頭は金髪でな、制服も改造やったわな。」

「いわゆるそれは、ヤンキーと言うやつですか?」

「まあ、そんなとこやな。」

集合写真の端の方に、斜に構えた少年の姿を見つけた。

間違いない、これ、先輩だ。

「3年になって、急に変わったんですか?」

「いやー…3年の時の担任がめっちゃええやつでな。最初はうるさいと思てたんやけど、だんだん言う事聞かなあかんような気がしてきて。気が付いたらまともに学校通って授業受けてたわ。勉強でわからんとこあったら、わかるまで根気よく付き合ってくれたし、そのおかげで私学やけどなんとか高校に入れた。」

「へぇ…ものすごくいい先生ですね。」

集合写真の前列真ん中に、担任教師の姿を見つけた。

歳の頃は30歳前後といったところか。

こざっぱりした風貌の、どこにでもいそうな感じの先生だ。

一緒に並んでいる生徒たちと比べてみると、背はまあまあ高い方。

めちゃくちゃ美形とまではいかないけれど、割と整った端正な顔立ちをしている。

「ん…?あれ…?」

誰かに似ているような?

よく似た先生でもいたかな?

「どないした?」

「いえ…。担任の先生が、誰かに似ているような気がして。」

「担任な…。結構男前やろ?」

「そうですね。」

先輩がそんなふうに言うところを見ると、先生を教師としてだけではなく、大人の男としても尊敬する存在だったのだろう。