パドックで会いましょう

「たち悪いな、絡み酒かい!」

「すみませんね、どうしようもない後輩で。」

「しゃあないのう…。可愛い後輩やからな、今日だけは多目に見たるわ。」

先輩は僕の頭をグシャグシャと撫でた。

「先輩は男にも優しいんですねぇ。そりゃモテるよ…。この際だから、先輩と付き合おうかな…。」

「それだけは勘弁してくれ…。なんぼおまえが可愛くても、俺は男には興味ないぞ。」

「冗談ですよ…。僕だって男には興味ないですからね…。」


グラグラと不安定に揺れる視界の片隅に、本棚を見つけた。

なぜだかやけに気にかかる。

前にもこんな事、あったかな?

僕はフラフラと四つん這いになって、その本棚の前に移動した。

「どないした?なんか気になる本でもあるんか?」

「ええーっと…いや…なんとなく…。」

その本棚の片隅に、どこかで見たような茶色い背表紙のアルバムを見つけた。

それを勝手に手に取ってみる。

「なんや、それか?中学の卒業アルバムや。」

「卒業アルバム…?」

表紙をめくると、先輩が通っていたであろう中学校の校舎や、教師たちの集合写真。

もう一枚めくると、今度は3年生のクラス写真がそこにあった。

「懐かしいなあ。もう何年になるやろ?」

「先輩は何組だったんですか?」

「3年の時は…確か3組やったな。」

「3組…。先輩の中学時代って、どんな感じでした?」

もう一枚ページをめくる。