「アンチャン、今日は馬券買(こ)うてみる?」
お昼前、レースが終わってパドックに向かって歩いている時、ねえさんが言った。
「馬券…ですか?」
「そう、せっかく競馬場に来てるんやしさ。賭け方はもう大体わかったやろ?どの馬が勝つかパドック行って予想してみよか。」
確かにこの間は先輩から頼まれた馬券を買っただけで、ただひたすらレースを観ていた。
予想して観ると、面白さも増すかも知れない。
「やってみようかな…。」
「よし、行こ!」
ねえさんが八重歯を覗かせてニコッと笑い、僕の手を掴んでスタスタ早足で歩き出した。
ねえさんの手が、僕の腕じゃなくて、手を掴んでる。
女の子と手を繋いで歩くなんて、幼稚園以来かも知れない。
手を繋いでいると言うよりは、掴まれていると言う状況ではあるけれど、照れ臭くてドキドキする。
ねえさんに手を引かれて、パドックがもう少しだけ遠ければいいのにと思いながら歩いた。
次のレースで僕の予想は見事に外れたけれど、ねえさんと一緒にどの馬が勝つか予想するのは思ってた以上に楽しくて、自分が勝つと予想した馬を応援するレースは、更に面白かった。
初めて自分で予想して、100円だけ賭けたハズレ馬券は、今日の記念に大事に取っておこう。
お昼前、レースが終わってパドックに向かって歩いている時、ねえさんが言った。
「馬券…ですか?」
「そう、せっかく競馬場に来てるんやしさ。賭け方はもう大体わかったやろ?どの馬が勝つかパドック行って予想してみよか。」
確かにこの間は先輩から頼まれた馬券を買っただけで、ただひたすらレースを観ていた。
予想して観ると、面白さも増すかも知れない。
「やってみようかな…。」
「よし、行こ!」
ねえさんが八重歯を覗かせてニコッと笑い、僕の手を掴んでスタスタ早足で歩き出した。
ねえさんの手が、僕の腕じゃなくて、手を掴んでる。
女の子と手を繋いで歩くなんて、幼稚園以来かも知れない。
手を繋いでいると言うよりは、掴まれていると言う状況ではあるけれど、照れ臭くてドキドキする。
ねえさんに手を引かれて、パドックがもう少しだけ遠ければいいのにと思いながら歩いた。
次のレースで僕の予想は見事に外れたけれど、ねえさんと一緒にどの馬が勝つか予想するのは思ってた以上に楽しくて、自分が勝つと予想した馬を応援するレースは、更に面白かった。
初めて自分で予想して、100円だけ賭けたハズレ馬券は、今日の記念に大事に取っておこう。



