パドックで会いましょう

居心地悪い。

香水臭い。

彼女らの鼻にかかった声が癇に障る。

何を話しても疲れるばかりで面白くない。

ビールもちっとも美味しくない。

早く帰りたい。

そんな事ばかり考えてしまう。


ビールをチビチビ飲みながら観察しているうちに気付いたのは、結局この人たちは、僕なんかにはまったく興味がないって事。

そりゃまあそうだろう。

そして、みんな先輩狙いなんだと言う事。

僕をだしに先輩に取り入ろうって魂胆だな。

先輩がいくら僕に気を利かせてくれたところで、結局僕は先輩の引き立て役にしかならない。

なんだ、この惨めな感じ。

やっぱり男は見た目なんだよ。

なんかもう、どうでもいいや。

僕だってこの人たちには興味ない。

うわべは綺麗に見えるけど、化粧落としたら別人なんじゃないの、なんて意地の悪い事を考える。

つまらない。

無理やり作られた出会いなんて。

それよりもっとつまらないのは、人を羨んで妬んでばかりの、卑屈で情けない僕。

背が低いとか童顔で子供みたいだとか、そんなのは、ただの言い訳に過ぎない。

見た目がどうだって、中身がこんなんじゃ、誰にも好きになってもらえるわけがない。

こんな僕に一番嫌気がさしているのは、ほかでもない僕自身だ。


僕はまた、背中を丸めて下を向いた。