君についた10のウソ

「今日はもともと桃菜ちゃんと約束してたの?」


『半ば強引にされた。イルミネーション行くだとかなんとか張り切ってたぞ』



めんどくせー、と言う優の声にはかったるさがにじみ出ている。


でも、なんだか違和感。


あたしが彼女だったときはだいたいのイベントごとは優から遊ぼうと誘ってくれていた。



「ね、ねぇ……優ってさ、桃菜ちゃんのこと、好き?」



恐る恐る聞くあたしの前を手をつないだカップルが通過してケーキ屋さんに入っていく。


知らない人にまで羨ましいと思ってしまう。


普通でいられるって、普通でいられない人にとったらこんなに羨ましいことなんだ……



『……正直に言っていいか?』


「……うん」


『俺、アイツのこと好きだと思えない』



嬉しいと、率直に思った。


桃菜ちゃんにはヒドいけど、やっぱりあたしも優に恋をしている存在。


そこらの現在進行形の片想いとなんら変わりはない。


だから当然、好きな人が彼女のことを好きだと思えないなんて知れば、嬉しくなってしまう。