「また、何をしたの?」
私は、絵梨の仕事が終わるのを待って、食事に誘った。

注文した料理が運ばれる前に、待ちきれずに絵梨に話しを始める。


我慢してたのに、涙が頬を伝わってきた。

「嫌われたかも…」

「ちょっと、泣かないでよ」

絵梨は、私が落ち着くまで気長に待っていてくれた。


「友芽さあ、そういうの話してくれたの初めてだよね?」

「うん…」
学生時代はもちろん、働き出してからも同性の友達に相談することができなかった。


「これから、ちゃんと話してよ。私だって、頼りないけど、ちゃんと考えて答えるから」

「うん」

普通の女の子のように、好きな人が出来てどうアプローチしようとか、
好きになった彼に、気づいてもらうにはどうしたらいい?
って恋愛の王道みたいな悩みを私は、抱えたことがなかった。


私の悩みは、まるで逆でどうしたら、みんなに誤解されないか?
どうしたら、自分に幻想を抱いて猛進してくる男から逃げられるか、離れていってくれるか…だなんて、誰にも相談できない内容だった。


私が、女の子たちが集まる場に顔を出すのも、
彼女達のお気に入りの男性の、気を引かないように気をつけることだった。

私は、人に嫌われないように気をつけてるあまり、自分の感情を人に話すのがとても恐ろしくなっていた。



だから、絵梨の言葉は、とても嬉しかった。