「本当だ。よかったまだ、あったね」
関口さんが連れてきてくれた店は、ランチを出してくれる、こじんまりとした喫茶店だった。
駅前に向かう賑やかな通りと逆だから、ぎりぎりに来ても、店は空いていた。


「全然、知らなかった。こういうお店、探せば、いろいろあるんですね」

「ここね、ハンバーグステーキがオススメだよ」


「はい」

注文して、落ち着いたところで関口さんに声をかけられた。


「何かあった?」
関口さんが優しく声をかけてくれる。


「ええ…でも、仕事の事じゃないですから」
私は、下を向いて答える。
志賀くんのことが気になって、何度か手が止まったり、ため息をついたりしてた。


私、何してたんだろう。
言われるまで、気づかなかった。