逃げられたのは、たった数メートルだった。
すぐにつかまって、引き戻された。
男の声が耳もとでした。
「待てよ。君みたいな女は、付き合ってる男なんか何人もいるだろ?
そういう男のついででいいから、俺と1度寝てみようよ。そんないい体してんのに、いろんなタイプためしてみるべきだ。もったいない」
「冗談じゃない!離して!」
「なに気取ってんの。どうせ、たいした料理なんか作れないくせに。やることやったら、そいつのとこ戻ればいいじゃないか。カレーなんか店で買えよ。その時間で楽しもうよ」
「止めてったら、私そんなんじゃない!!」
腕をつかまれ、綱引きみたいに、ずるずる引っ張られていく。すごい力で引き寄せられ、ほとんど抱えられるように、引きずられてる。
「なあ、分かったから機嫌直せよ。みんな見てるぞ。俺が悪かったから。俺たちの家に帰ってベッドで仲直りしよう」
「なに気持ち悪いこと言ってんの!!あんたなんか知らない!離して!」
「友芽、なにしてるの?」
志賀くんが、すぐ近くに立っていて私がしてることを不思議そうに見ている。
「宗佑!!助けて!」
私は、体をねじって腕から逃れた。


