関口さんが目で合図してくれる。
私は、さっと振り返って、営業のお触りおじさんの攻撃を逃れる。
私は、ファイルを抱えて持ち、ベタベタ触られないようにガードする。
「友芽ちゃん、今日の夜、付き合ってよ」
「江尻さん、奥さんに聞いてからにしてくださいよ。後で、もめても知りませんから」
総務課は、社内のいろんな部署の人が使ってた備品が足りないとか、会議室の予約を取りに来たと雑用を頼んでくる。
でも、メールで送るか、社内システムに入力すればそれで済むことだから、わざわざ出向いて来ることはない。
「江尻さん、何で社内システムやメールを使わないで、直接頼みに来るんですか?」
今年2年目の里奈ちゃんが、いつの間にか戻ってきて、パートの関口さんに普段から不思議に思ってることを聞く。
「何ででしょうね?江尻さんもそうしたら楽なのにね。それより、里奈ちゃん?ああいう人が来たら、木原さんのところに行く前に、里奈ちゃんが用事を聞いてあげてね」
関口さんが気を使って言ってくれる。
「ええええっ、だってあのエロおじさん、木原先輩と話したくて来てるんでしょ?」
「だからよ。分かってるんでしょ?」


