あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~


週明け、会社に出勤する。

志賀くんの部屋から、バタンとドアの開く音。

「ちょっと待って、志賀くん、出るの早くない?」
これからメイクをしようと思ったところで、

「俺、もう行くから!」
という、志賀くんの声…と共に
ガチャという、ドアの開く音。

「ちょっと、待ってよ!」

私のアパートとこの家って、距離的に同じくらいだ。だから、会社までの通勤時間ってほとんど変わらないはずなのに、いつもより30分は早い。いつもの時間に出ても、充分間に合うのに。

「先に行くから。鍵ちゃんと閉めとけよ」
と志賀くん。

もう一度、ガチャンと閉まる無情な音。

「ええっ…」

追いかけて行きたいけど、メイクが終わってない。志賀くんは私を置いて、さっさと出かけてしまった。

昨日から一緒に出勤しようって、言ってたのに…
駅までの道順分からないよ。



やられた。
こんなに早く行くとは思わなかった。
もう…

もう、仕方ないか…
携帯にナビあるから、どうにかなるかな。

支度をして、家を出ようと思ったら、
キッチンのテーブルの上に、白い紙が無造作に置いてあるのに気づいた。


何だろうと思ったら、駅までの地図だった。

ご丁寧に拡大して、赤ペンで近道まで書かれてる。


「ありがとう…志賀くん。
でも、腕組んで歩きたかったな」