あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~



「志賀くん、私んちここだから」

「ああ」

志賀くんは、立ったままポケットに手を突っ込んで、早く行けと目で合図する。

私が部屋に入るまで待っててくれるってことか。


そんな、ぶっきらぼうな言いかたしたら、彼女になってくれそうな子を、怖がらせちゃうじゃないの?っていじりたくなる。


私は、余計なことが、口から滑り出さないように気をつけて、鍵を出して階段を上がった。

アパートは、表通りから一本入った通りにある。ちょっと古いけど、キッチンとリビングが分かれたタイプ。

防犯面ではどうかなって、早坂さんに気になるって言われたけど、今まで何もなかった。



アパートの階段を上がってすぐに、何かおかしいと思った。


鍵を閉め忘れても、ドアを閉め忘れることはない。


ドアが完全に閉まってなく、少し浮いている。


どうしよう…

「どうしたの?」
下から志賀くんが声をかけてくる。


「わからない」そういいたかったけど、声が出なくて首を振った。

声を出してみたものの、震えてまともに聞こえてないと思う。


ドアは、転がった靴の先が引っ掛かって中途半端に開いていた。


「どうしたの?」
様子が変だと思ったのか、志賀くんが階段を上がって来た。

彼は、すぐに事態を飲み込んだのか、すぐにそこから出ろと言って私を玄関から外に出した。

「そこにいて」と私を通路に立たせると、ドアを全開にして、部屋の電気をつけた。

私は、恐る恐る志賀くんの後ろから、のぞきこんだ。

「キャッ!」

 私は、部屋が明るくなって、浮かび上がった様子を見て、驚いた。