目の前の健吾を見つめる。

サラサラの黒髪にシャープな顎のライン。

少し大きめだが切れ長な瞳。

テーブルに広げた課題を睨みながら、コーヒーを飲んでいる。

お隣さんになって早15年。

私はこの幼馴染に恋をしている。

(一緒の時間が増えた事は…ママに感謝よね。)

そんな事を思っていると、おもむろに健吾が話しかけてきた。

目線は課題に注がれたまま。

「さより」

「なによ」

「……俺さ……胃袋掴まれると、グッとくる。」

言われた事を理解するのに数秒かかった。

かあぁっと顔が赤くなるのを感じる。

赤くなった顔を見られたくなくて、私は慌てて下を向いた。

「~~~さあ、課題課題!明日までに終わらせなくちゃ!」



(絶対にからかわれた‼)

(なかなか落とせねえな)