次の日も、私は誰に言うでもなく、一人で考えていた。

恋がどんなものかも分からないのに、坂瀬くんとの距離ができればできるほど、それが恋なのだと確信していく自分に頭がついていかない。

恋ってなんだ。
恋って、相手を想って、苦しくなること。
一緒にいたくて、だけど、傷付けたくないと思うこと。

まるで少し長時間の一目惚れなんじゃないかと思うほど、私は坂瀬くんを好きになるのが早い気がした。

そしてそれと共に考えたのは、青柳颯太のこと。
青柳颯太が時折見せる表情に、なぜか胸がざわつく。

心配?それとも嫌悪感?
どれとも言えない。

ただ、なぜか嫌いになれない。
自分でもそれが分からない。
なぜ嫌いになれないのか。
好きってわけじゃないくせに。


「日和ちゃん、次、移動教室だよ」

「あ、うん。先行ってて」

「分かった。遅れないようにね」

「うん」


いつも早めに行動する青柳颯太の行動が遅い。
そして、人が少なくなったところで、ゆっくり立ち上がる。

私もそろそろ行かなきゃな。
そう思い、青柳颯太の後ろに着いていった途端、彼の体がグラリと傾き、私の方に崩れ落ちてきた。