理由も分からない青柳颯太の指示に従うことは、しなくていいのかもしれない。

それなのにその指示に逆らうことを躊躇っているのは、やっぱり青柳颯太のあの表情のせいだと思う。

青柳颯太のことなんてどうだっていいはずなのに、自分でも分からない感情が邪魔をする。

坂瀬くんと話したい気持ちは変わらない。
でも、青柳颯太の表情が頭に焼き付いて離れない。

坂瀬くんと話そうとすると、罪悪感に駈られて話してはいけない気になる。

なんであんな表情をしていたんだろう。
なんで話してはいけないんだろう。

暇さえあれば、楽しくもないそんなこと考えて、答えなんて見つかるはずもないままそんな考えは終わってしまう。

今は話してはいけない。
話すべきではない。

何となくそう思って、坂瀬くんを避けなくてはいけない気になる。

どうして私がこんなことをしなきゃいけないのか。
そんな考えもあるのに、なぜか従順に青柳颯太の指示に従うつもりになっている。

自分の考えを坂瀬くんに押し付けたくないし、青柳颯太のあの顔を見てしまっては、話すことも出来ない。

結局、私は坂瀬くんを避けることにしてしまった。