驚きのあまり、教材を落としそうになる。


「何考えてんだよお前は!」


もう一人の影が、坂瀬くんを殴る。


「ごめん、許して」


坂瀬くんは弱々しい声で謝ってばかり。


分からないことだらけで、混乱する。

坂瀬くんは、何をしたんだろう。

坂瀬くんは、どうして謝ってばかりなんだろう。

坂瀬くんは、誰にこんなことをされているんだろう。


そして、相手の顔に光が当たって、ようやく見えた。

その顔を見て、更に混乱する。


私は話したことがない。
そして、坂瀬くんが彼と話しているのも見たことがない。

彼の名前は、青柳颯太。