施設の中は、冷たい雰囲気だった。

温度は決して低くない。
でも、真っ白な石で造られているその建物は、落ち着かない。


「大理石。...人造人間なんて作って、どっかで売り飛ばしてたんだろうな。相当金が入ったんだろう」


見たことがないほど冷酷な、冷たい表情で、青柳颯太は吐き捨てるように言った。


「売り飛ばす...?」

「あぁ。天馬は欠陥があったから売られなかったんだ。多分この世に人造人間は何人かはいるだろう。まぁ、公に出来るような存在じゃねぇわけだし、どこか日の当たらない場所で生きてるんだろうけどな」


青柳颯太が淡々と語るその言葉の一つ一つが、私にとっては驚くことで。

それでも、今ここで怖じ気づくわけにはいかないから、相槌をうって話を聞いていた。


「...そういう意味では、天馬は欠陥があってよかった。もし完璧であれば、どこかに売られていただろうからな」


よかった、というその言葉が、最悪の中でも、という意味だということが分かる。


「感情なんてなけりゃ、天馬は...」


一言そう言って、青柳颯太は黙り込んだ。

そして、足を止めた。


「何?」

「動くな。静かに」


そう言われて、口を噤む。


「...天馬だ」


そして、青柳颯太の言葉に、鼓動が大きく震えた。