興奮状態のまま、店の裏のバックヤードで発注作業をしている男の先輩の元へ走り寄る。


「こら田宮!店の中走るなって」

「あの、先輩!この人が過去に出した本、全部一冊ずつ発注してください!」

「あん?」


先輩は私の手にある写真集の表紙を、メガネの奥から覗き込んだ。


「春木リョウ……?聞いた事ないな。写真家か?」

「はい!」

「読み方、そのままハルキでいいんだよな。お客さんから注文入ったの?カード書いてもらった?」

「いいえ!私の注文なので」

「はっ?」


きょとんとしている先輩に、自分を指さしながら満面の笑顔で言った。



「私が、全部注文します。」