心臓をバクバクいわせて、だけど俺は必死で平然を装う。

キラキラ輝いて見える先輩のその顔を見ながら俺がそう聞くと、麻妃先輩が言った。


…不思議だよな。ついさっきまではあれほど、今日は最悪だったって不機嫌だったのに。



「このあと、三島くん何か予定ある?」

「え?あ……別に?」

「じゃあ…一緒に、寄り道して帰らない?」

「へ…?」



よ、よりみち?

って、たぶん、あの“寄り道”だよな?


え…じゃあ俺、麻妃先輩とどっかで寄り道して帰…

っつか俺、なんでいきなり誘われてんだよ!


俺は思わぬ麻妃先輩からの言葉に静かに混乱しつつも、頭の中を必死に整理して、やがてその誘いに頷いた。



「は…ハイ!」



これ、夢?

夢じゃないよな!?


麻妃先輩は俺がそうやって頷いたのを見ると、ニッコリ笑顔で言った。



「ほんと!?良かったー。じゃあ、早く片付けて学校出るよっ」

「…っ」



…もしかして、これが、俗に言う「デート」の約束ってヤツか?

俺は麻妃先輩の隣で、麻妃先輩に見られないように、嬉しさを堪えきれずに笑みをこぼした…。