「み、三島くんっ…?」
「…」
朝、起きたら。
麻妃先輩が隣にいたら、とか。
そんなことばかり考えていたけれど、今朝それが実際に起こると、何か幸せすぎて怖い。
しかも、いつの間にか、彼氏になってるとか。
酔っぱらってた俺、バンザイ!なんてね。
「愛してますよ、先輩」
「き、昨日聞いたよ」
「照れてますか?顔が赤い」
「!…~っ、」
ふいに視界に入る、真っ赤になってる麻妃先輩の耳。
その耳にキスしようとしたら、その瞬間に麻妃先輩が言った。
「…が、いい」
「?」
「先輩、とか。もう呼ばなくていいよ」
「え、」
「名前だけが、いい。敬語も、もう無しでいいよ」
「!」
二人の時は。
そう言った麻妃……と、至近距離で目が合う。
ほらね、彼女はとことんズルイんだ。
そうやっていつも俺を夢中にさせるから。
俺はそんな麻妃に我慢が出来なくなって、出かける前に甘いキスをした。
音楽が導いてくれた初恋は、
やっと叶った、片想い。
もう絶対に離さない。
だから、後悔もしない。
キスをした後、その重たい扉を開けて。
静かなその部屋を後にした───…。
end

