とはいえ、ユリナだって仕事があるし。

帰りに勇佑をほんの少し尾行することしか出来ない。

数日後に勇佑の会社に行ったら、会社の前で勇佑がベンチに座っていて、思わず声をかけた。



「…勇佑」

「!」



名前を呼ぶと、少しびっくりしたように勇佑がこっちを向く。

けど、その表情はすぐに冷たい表情に変わった。



「…何」

「話したいことがあって」

「もう終わったから」

「ちょっとでいいの」

「俺今人待ってるし、無理」



勇佑はそう言って、ユリナと目も合わせようとしない。

…くじけそう。

思わず泣きそうになってしまうけれど、そこは堪えた。


ユリナは、勇佑の隣に腰を下ろす。



「ね、勇佑他に好きな人ができたって言ったじゃん」

「…」

「それってもしかして、この前プリクラに写ってた“麻妃”って人?」



ユリナがそう問いかけると、その瞬間勇佑が微かに反応した気がした。

…やっぱりそうなんだ。



「どこで何してるかわからない相手、なんじゃなかったの?」

「…関係ないだろ」

「だってユリナはっ、」

「もう帰れよ」

「!」