その夜は、勇佑と付き合って初めて体を重ねた。

ユリナにとっては、物凄く幸せな夜だった。

そのあと、スマホを片手に勇佑の寝顔をこっそり写メると、勇佑が起きてしまう。



「…何撮ってんの」

「彼女の特権だよね。これ待ち受けにするから、勇佑もユリナの寝顔待ち受けにして?」

「……遠慮しとく」

「ええーっ、何でー!」



もうちょっとこの幸せな雰囲気を味わいたいのに、勇佑は寝るのが早い。

疲れてんのかな?

まぁ、時間はとっくに夜中の0時を過ぎてるんだけど。


それでもやがてユリナも勇佑の隣で眠りについて、そのあと今度は静かに勇佑が目を開けた。

…だから、あたしは知らない。


勇佑があたしを抱いた理由も、

その時の感情も、

勇佑の中で募っていた悲しみも…


全然知らずに、隣で安心して眠ってた。








…ほんと、似すぎだよな。



「…麻妃…」



勇佑はそう呟いて、あたしの頬を撫でる。

そのあとキスをしたのは…


あたしに、なのか。

“麻妃先輩”に、なのか。


それを知っているのは、もちろん…勇佑だけ……。