初恋フォルティッシモ


そう思ってプリクラを見つめていたら、その時落書きで名前が書かれてあるのを発見した。



「…あさひ…?」



…多分、そう読むんだと思う。

「麻」に「妃」。

可愛い名前。けど、きらい。


そう思いながら、眺めていたら…





「あっ、お前何してんだよっ」

「!!」




その時。

タイミング良く、勇佑がお風呂から上がってきた。



「あ、勇佑。ドライヤー借りちゃったー」

「それはいいけど、お前何勝手に見てんの。っつか何それ」



勇佑はそう言ってユリナが持っているプリクラに手を伸ばすけれど、ユリナはそれを許さない。

手が届く前に勇佑からすかすと、冗談ぽく言った。



「ねぇ何このプリクラー。チューしてて可愛いんだけどっ」


「ちゅー…?


…!!ばっ、それ返せよ!」



あたしの言葉に勇佑はすぐに何のプリクラなのかわかったらしく、慌てた様子でまたそのプリクラに手を伸ばす。


え、何でそんな必死なの?

いつもの勇佑らしくない。



「えー、いいじゃん見せてよー」