初恋フォルティッシモ


いきなりの音に、ちょっとだけびっくりする。

そしたら、脱衣場からすぐに勇佑の声が聞こえてきた。



「ユリナ、バスタオルここ置いとくからな」

「…うん、ありがと。…なんだ、やっぱ一緒に入ってくれるのかと思ったー」

「…」



ユリナは冗談のつもりでそう言うと、湯船に浸かりながらちょっと笑った。

でもきっとまた、冷たく交わされるだろうな。


……けど。



「…お前さ、そんなこと言ってたら本気で入るぞ」

「…え?」



その時。

いきなりまさかの返事が聞こえてきて、あたしは思わず自分の耳を疑った。

…な、何て?え、それも冗談?


でも、



「…っ!」



お風呂場と脱衣場を繋げるドアの向こう。

特殊なガラスに、勇佑のシルエットが本当に近づいてきた。


嘘?だって、勇佑は服を着たままだ。

でも、右手はそのドアを開けようとしていて…


…え、本気!?


まさか勇佑が本当に来るとは思ってもみなくて、ユリナは慌てて勇佑に言った。



「ちょ、ちょっと待って!待った待った!タンマ!」

「…一緒に入っていいんじゃねぇの?」

「女のコにはいろいろ準備ってものがあるの!」