初恋フォルティッシモ


…じゃあユリナが作れるものないじゃん。

そう思って、でも「何かないのー?」と冷蔵庫を漁っていると、その後ろでビール片手に勇佑が言った。



「…お前絶対良い嫁になれないな」

「!」



そう言って、ぐっとビールを飲み干す。

でもユリナはその言葉を、プラスにとらえて言った。

それはもう満面の笑顔で。



「っ…勇佑、ユリナと結婚してくれるの!?」

「え!?あ、いやそんなんじゃ…」

「わかった!ごめんね、勇佑!ユリナ料理頑張るね!勇佑のために!」



ユリナは勇佑にそう宣言すると、(料理じゃないけど)冷凍庫にあった冷凍食品を取り出す。

お米も研げないし味噌汁も作れないから、インスタントの味噌汁がないか探してみた。

すると、冷凍食品をキッチンに置いたユリナに勇佑が言う。



「……冷凍か」

「カップ麺よりはマシじゃない?」

「どっちも似たようなモンだろー」



って、勇佑はそう言うけど、勇佑の部屋のキッチンは食材が少なすぎる。

卵がないって、ユリナは卵だけは切らさないけどなぁ。

結局インスタントの味噌汁すらもなくて、冷凍食品だけじゃ足りないから二人でコンビニに行くことにした。